
託した思い、議員とズレ
自民が大勝した昨年末の衆院選。朝日新聞社と東京大学・谷口将紀研究室は共同で、憲法や個別政策などについて、候補者と有権者の意見や評価をアンケートした。調査結果からは、当選議員と有権者の意識の「ズレ」が浮かび上がった。自民に投じた人が、安倍政権が進めた安全保障政策などについて必ずしも評価・賛成していないことが分かった。

安倍自民党は2012年衆院選、13年参院選に続く3連勝となった。ただ今回は、景気の現状に関する有権者の評価は低く、自民や首相への感情温度も下がるなど、「アベノミクス」に及第点が付けられたと言える13年の調査結果とは少し様相が異なる。民主党や維新の党に対する有権者の感情が伸び悩んでいる隙を突いた、「消極的選択」による圧勝劇だった…[続きを読む]
有権者への調査は、層化無作為2段階抽出法で3千人の対象者を選び、衆院選投開票前日(昨年12月13日)に調査票を郵送。投票後に回答・返送してもらい、1802人(60%)の回答を得た。 衆院議員への調査は、衆院解散直前の11月中旬から立候補予定者にアンケートを実施し、回答者から当選者分を抽出した。新議員475人のうち回答者は463人(97%)。 分析は、東京大学大学院法学政治学研究科谷口研究室の三輪洋文氏。朝日新聞側は寺西和男、鶴岡正寛が担当した。

自公政権 数の推進力-当選者を読み解くと-
原発再稼働や集団的自衛権の行使容認、消費増税。朝日新聞社と東京大学・谷口将紀研究室の共同調査では、自民党と公明党が、これらの政策を推進する姿勢が鮮明になった。対立軸を明確にできずに微増にとどまった民主党、こうした政策に明確に反対の姿勢を示して躍進した共産党などが、どう国会に臨むかが注目される。一方、首相の靖国神社参拝やカジノ解禁など社会的な問題では、自公の賛否が大きく分かれる分野もあり、今後の政権運営に影響する可能性もある。
衆院選の当選者のうち、憲法改正の賛成派が8割を超えることが、朝日新聞社と東京大学・谷口将紀研究室の共同調査でわかった。改正項目としては9条と96条が多く、特に自民で両条文を挙げる当選者が目立った。
候補者の調査から、当選者の回答を抽出した。
憲法改正の賛否を5択で質問。「賛成」は59%、「どちらかと言えば賛成」は25%で、合わせた賛成派が84%を占めた。「反対」は7%、「どちらかと言えば反対」は3%で、計10%にとどまった。「どちらとも言えない」は6%…[続きを読む]
経済の好調さをアピールし、推進力を得てきた安倍政権。新勢力でもこれまでの施策を継続していく可能性が高い。
安倍晋三首相が事実上の国際公約とする法人税減税は、当選者全体で65%が賛成派(「どちらかと言えば」を含む)。自民の78%、公明の71%が賛成派だ。消費税が長期的に10%よりも高くなることはやむを得ないかも聞いた。全体では賛成派は57%、反対派は15%だ。反対派が多数なのは共産、社民、生活だけだ…[続きを読む]
安倍首相は今後、集団的自衛権の行使を認めた閣議決定を具体化する法整備を進める考えだ。
閣議決定については当選者全体の69%が評価した。自民と、連立を組む公明はいずれも97%が評価。これに対し、民主で89%、維新で73%が「評価しない」と回答。共産、社民、生活も全員が評価せず、国会での激しい議論が予想される…[続きを読む]
社会的な課題では、与党内の考えの違いが鮮明になった。
首相の靖国神社参拝には当選者全体で賛成派は34%で、反対派が38%と上回った。昨年7月の参院選では48%が賛成派、33%が反対派だったが、同年12月の安倍首相の参拝で中韓との関係は著しく冷え込み、賛否が逆転した。公明、共産は全員が、民主は85%が反対派。自民の賛成派は参院選の77%から52%に減った…[続きを読む]
インターネットによる選挙運動が解禁されて初の衆院選で、最も重視する情報発信手段として、「SNS(ツイッター、フェイスブックなど)」やウェブサイトと回答したのは、当選者のうち2%に過ぎないことがわかった
当選者のなかでは、最も重視する情報発信の手段としては、73%が「有権者との直接的な交流(集会など)」と回答。続いて、「街頭演説」としたのが16%だった。SNSとウェブサイトは、合算しても2%にとどまった…[続きを読む]
2003年以降、東京大学大学院法学政治学研究科の蒲島郁夫(現・熊本県知事)、谷口将紀両研究室が、主に国政選挙の候補者を対象に政策テーマについての考え方などを回答してもらい、統計的に分析。政党の立ち位置を図に表すなど、新しい政治報道に取り組んできた。同時に有権者にも意識を聞き、候補者(当選者)と比較している。
今回は、衆院解散直前の11月中旬から立候補予定者にアンケートを実施。このうち当選者の回答分を集計した。新議員475人のうち回答者は462人(回答率97%)。分析は、東大・谷口研究室の三輪洋文氏が担当した。朝日新聞側は杉崎慎弥、広島敦史、山下龍一、久木良太、鶴岡正寛が担当した。
価値観 各党カラー鮮明[2014年12月3日朝刊]
朝日新聞社と東京大学谷口研究室の共同調査では、「アベノミクス」だけでなく、集団的自衛権の行使や原発再稼働、ヘイトスピーチへの対応など広範な争点や価値観で、各政党の間の距離が浮き彫りになった。争点によっては与野党の枠組みを超えて、自民と維新・次世代、公明と民主がそれぞれ近いという現象も見られた。

安倍晋三首相は「アベノミクス解散」と名付けたが、有権者にとってはアベノミクスに限らず業績全般を広く検討し、長期政権化に賛成か反対かを問う選挙となる。首相の思惑は、今回の選挙によって「直近の民意」を手に入れたと主張し、来年秋の自民党総裁選での再選を確実にして、長期政権の礎を築くことだとみられるからだ…[続きを読む]
候補者アンケート 朝日新聞社は衆院解散直前の11月中旬から立候補予定者にアンケートを実施した。候補者1191人のうち、12月11日までに1131人から回答を得た。回収率は95%だった。
分析は、東京大学大学院法学政治学研究科・谷口将紀研究室の三輪洋文氏が担当した。朝日新聞側は杉崎慎弥、広島敦史、山下龍一、久木良太、鶴岡正寛が担当した。
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朝日新聞官邸クラブ
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